【ゲイリー・オールドマン】映画チャーチルのレビュー



こんにちは!リンクです!

『ウィンストン・チャーチル / ヒトラーから世界を救った男』がプライム・ビデオにきていたので観ました。映画館で観たかったのですが、都合が合わなくて観られず。やっと観ることが出来ました。

 

登場人物

ウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)
とにかく喋り方が攻撃的で、言い出したら聞かない。
しかし、言葉にできるというのは強いですね。自分の気持を自分の言葉で力強く語れるというのが、リーダーに最も求められる要素かと思います。国を背負っているわけですからね。
クレメンタイン・チャーチル(クリスティン・スコット・トーマス)
奥さんも立派だと思います。奥さんの言うことだけは素直に聞きました。チャーチルの弱さも欠点もなにもかも分かっていて、優しく慰める場面では涙が溢れました。
ジョージ6世(ベン・メルデルソーン)
現在のイギリスのエリザベス女王の父親。この時代の英国王。第二次大戦中、カナダに亡命してはと提案されるも亡命せず、ロンドンに留まりました。のちにチャーチルとは親睦を深めていきます。

あらすじ

1940年。第二次世界大戦中のイギリスは、最も苦しい時期でした。
そんな苦しい時代に首相となったチャーチルは65歳。
ドイツがヨーロッパ諸国を攻め、オランダ、ベルギーが陥落。フランスも壊滅的。次はイギリスです。
ハリファックス外相に、ヒトラーを止めるには会話による解決しかない。ドイツとの和平交渉をするよう迫られます。避けられる戦いは避けるべきです。
しかし、チャーチルには「独裁者には屈しない」という信念がありました。最後まで戦う姿勢を崩しません。
アメリカに助けを求めますが、無理!と言われます。孤立無援です。
もちろん迷いもあって、チャーチルの苦悩が痛いほど伝わります。嫌われ者チャーチルに、味方は奥さんしかいないかと思われました。昼間からお酒を飲み、四六時中葉巻を吸い、大きな声で怒鳴り散らす、英国紳士とはかけ離れた人物像です。
この時代の英国王ジョージ6世もまた、チャーチルに対して良く思っていませんでしたが、次第に心を許していきます。
果たしてチャーチルが下した決断は…..

感想

チャーチルは、頑なに和平交渉はしないと言い続けましたが、それに賛成する人は周りには皆無でした。国民の命がかかっているわけですから、好戦的だ無謀だと言われても仕方がありません。「決して屈しない」というのは、確かにとても立派ではありますが、なぜ最後まで信念をもって、貫き通すことができたのでしょうか?
イギリスの首相がチェンバレンからチャーチルに代わって、一番恐れていたのはヒトラーだとジョージ6世が映画の中で言っていました。史実かどうかはわかりませんが、それが本当なら、チャーチルが絶対に抵抗してやる!思ったとしても不思議ではありません。チャーチルは暴君ではないので、怖いか?と聞かれると怖いと答え、ときに独りで涙を流すこともありました。最終的にはジョージ6世に「君を支持する」と言わしめ、民衆も味方につけたとされています。国民の士気を高め、イギリス人のプライドをかけて戦い抜いたのはすごいですね。映画ではチャーチルが首相になってから数週間しか描かれていませんが、連合国がドイツに勝利するまで5年かかっています。

もしもヒトラーとの和平交渉をしていたら・・・
あのヒトラーに降伏などしていたら・・・
ドイツはイギリスにとって不利な条件ばかり突きつけてきたでしょう。イギリス政府はヒトラーの言いなりとなり、ファシストによる政権が作られたかもしれない。

イギリスという国は日本と同じく島国で、面積は日本より少し小さく、人口は約半分。
(イギリスという国は存在せず、United Kingdomといい、イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの4つの国のことですが、ここではイギリスと言わせていただいています。すみません)
そんな小さな国がかつては多くの植民地をもち、ヒトラーにも屈せず戦う、その精神力はどこからくるのでしょうか?島国根性もあるのかな?
イギリスの通貨はユーロではなくスターリング・ポンドで、エリザベス2世が描かれていますよね。イギリスはEUから離脱するなど、どこか欧州大陸と距離を取っている感があるような気がします。「国家と結婚する」と言って生涯独身を貫いたエリザベス1世の時代から受け継がれているのかな?小さい国だからこそなのか、大陸から離れているからなのか、愛国心が強いように思います。

ウィンストン・チャーチルの名言

「成功があがりでもなければ、失敗が終わりでもない。肝心なのは続ける勇気である」
「勇敢に戦って破れた国はまた起き上がれるが、逃げ出した国に未来はない」
「気も変えられない奴に国が変えられるか」
「父親は神のように姿が見えなかった」(父親はいつもいなかったという意味。ユーモアがある台詞で好きです)

特殊メイク

初めてこの映画のポスターを見たときに衝撃を受けました。あのゲイリー・オールドマンがこんな風になっちゃったの???と、かなりショックでした。お顔もですが、あの大きなお腹も作り物だそうで、実際に太ったわけではないようです。ちょっと安心しました。
どやらチャーチルそっくりの特殊メイクで、しかも辻一弘さんという日本の方が担当されました。ゲイリー・オールドマン直々に指名されたと言うからすごいですよね。チャーチルになりきるために、話し方や仕草までマネているそうですよ。辻さんは日本人初のアカデミー賞メイクアップ&スタイリング賞を、ゲイリー・オールドマンは主演男優賞を受賞しました。

その頃日本では

1940年は日本も第二次世界大戦中です。日本は、ドイツ・イタリアと日独伊三国同盟を結んでおり、イギリス・フランス・アメリカ・ソ連・中国などの連合国と戦っていました。チャーチル率いるイギリスとは敵対国だったわけです。1945年、イタリア・ドイツが降伏し、広島と長崎に原爆が落とされ戦争が終結。もう二度と戦争は起こらないでほしいですね。

あわせて見たい映画

『ダンケルク』

フランスのダンケルクからイギリス兵を撤退させるため、民間の船を集められるだけ集めた。ダイナモ作戦。

『英国王のスピーチ』

吃音症(きつおんしょう)だった後のジョージ6世の治療のためにやってきたオーストラリア人、ローグとの友情物語。

まとめ

この映画は【実話に基づいて】いるだけで、チャーチルのセリフ一言一句が本当に語られたものではないということ。チャーチルが地下鉄に乗って、市民の意見を聞くシーンなど、事実とは異なる場面もあるということ。2019年の今考えると、彼の行いは正しかったのかもしれないというだけである。戦争というのは勝っても負けても悲惨ですよね。戦争によって何万人もの人が亡くなったことには変わりありません。
タイトルにあるように「ヒトラーから世界を救った」というのは誇張しすぎだと思います。

ラストに4分にも及ぶ感動的な演説シーンがあるのですが、拍手喝采の中、ハリファックスの一言「彼は言葉を武器にして戦場に乗り込んだ」が印象的です。この映画が単に、ウィストン・チャーチルを絶賛し英雄化しているというわけではない、と感じました。

映画を観ているというより、その場に自分がいるのかと錯覚してしまうほどリアルな緊迫感がありました。
ゲイリー・オールドマンの素晴らしい演技が全てでした。
おすすめ度★★★★☆

フランスのダンケルクの位置

予告

 



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